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月のとびうさぎ


「月のとびうさぎ」

 

 守・・・登場人物をご紹介致しましょう。

     黒澤家、当主、黒澤安二郎。20年前絶賛を浴びた、かの名画「黒猫のタンゴ三兄弟」を

     引っさげ、日本映画界に彗星のごとく登場した伝説の名監督。その後鳴かず飛ばずで

     人々の記憶から消え去ってしまった、黒澤家の天皇、黒澤安二郎。

     黒澤家、三姉妹。長女、果林。立ち居振舞い、顔かたち、母親に瓜二つ。

     果林さんの旦那、山原茂は5年前事故で亡くなり、現在二児の母で未亡人。

     次女の月子。月子さんは3回の結婚と離婚を繰り返し、現在10才年下の男と

     恋愛関係にある。強者というべきか、ニンフォーメニアというべきか

     あれはきっと筒親の父をひいてるんだな。広告代理店勤務、管理職。

     三女、桜。桜さんは月子とは全く正反対の性格。28歳にして未だ処女。

     姉達はあの手この手を尽くし、鉄壁の処女を陥落させんとするも、

     未だ改善の兆しは見られない。

     今日は、彼女達の亡き母、幸子さんの三回忌。久しぶりに家族が黒澤家に集まったのです。

     ほら、あの人は安二郎の十年来の恋人、綾さん。尊敬が恋になり、愛になり、

     なるようになり、黒澤夫人の死後、今はこの黒澤家で安二郎と二人、暮らしているのです。

     私? 私はいったい誰でしょう。

 

 

桜・・・お母さん、あの桜見てるかしら

安二郎・・・人間生きてりゃこそ、花も咲く。

       死んだらおしまい、何もなしだ。皆飲め。

 

- 久々の再開に近況を報告し合う姉妹 -


-綾と月子は、桜の鉄壁の処女を陥落させんと誘惑-

 

- 突然やつて来た守・・・彼の目的は? -

- 長女の果林に、母・幸子の霊が乗り移る -

 

母・・・あなたや娘達をおいたまま先立ってしまった私を

    お許しください。

綾・・・感じる、私芸能人だから霊感強いの感じるわ。

    ゾクゾクしてきた。

父・・・果林

母・・・(ううん)幸子でございます。

綾・・・出たーっ!

 

父・・・家もなく、放浪の旅か。羨ましい。

    昔は山の向こうに幸いが住んでた。

    住んでいるであろうと、信じる事が出来たんだ。

    それが今じゃ、物、金、欲望渦巻く世界。

    信じられん犯罪が起きる毎日だ。

    君、人間は動物じゃない。心とか、愛とか、情とか

    形のないものが一番大事なんだがなー

守・・・はい。僕もそう思います。

 

父・・・今日はなんで出てきたの?

- 綾は母・幸子の霊が出たことを話すが皆に信じてもらえない -

 

 

- 姉妹は、父の放蕩のせいで反抗し家を出ていた兄・雄一郎と

 父との 再会を計画していた。頑固な父を説得できず、

 母の霊に出 てきてもらい、父を説得してもらおうとする。 -

- うまく母の霊が乗り移ってくれず、長女の果林が芝居をする

 方法を選ぶが、うまくいかない。 -

 

- そんなあんなのうちに夕食後、ほろ酔いの3姉妹と綾 -

桜・・・あ、見て。桜の上。満月よ。 

皆・・・ホントだ。キレイねー

 

- すっかり、お酒を飲み過ごした皆は、それぞれの内側の

 話をし始める。果林は、夫亡き後、子供のためと

 嫁ぎ先に留まっている。悪酔いで彼女らしからぬ発言連発。

 そして、切なくも本音がホロリ・・・ -

 

果林・・・私だって女よ。まだ、現役の女なのよ。

      まだ遅くない。恋もしたい。夢も見たい。

      幸せにもなりたいのよ。 

 

綾・・・よし、飲もう。今夜はとことん呑もう!

皆・・・そうだ、呑もう呑もう!

月子・・・待て待て待て、駅前BARに乗り込もう。

 

- 綾から父の何番目かの恋人の存在を聞かされ、頑固な

 父の放蕩ぶりに皆の怒りは爆発。兄の為に、綾の為に、

 みんなの為に・・・お酒の 勢いも手伝い、皆でそこの

 駅前Barに乗り込む事に・・・ -

 

桜・・・私、このうち帰って来ようかな、お庭の手入れしたり、

    窓を開けて掃除したり、そしたらお姉さん達も

    帰ってきやすいでしょ。

父・・・バカめ。お前達がいなくなって清々してるんだ。

    口やかましいお前なんか帰ってきてみろ。

    やかましくていかん。

桜・・・嬉しいくせに。

 

 

月子・・・お母さん、私たちの前ではいつも明るかった。

      麦藁帽子に白い半袖のワンピース・・・

      草むしり手伝いなさいって言われたのに、

      お腹痛いって嘘をついて、子供部屋で

      絵本見てた。飽きて窓からお庭見たの。

      麦藁帽子に白い半袖のワンピース。

      午後の光の中。お庭のあっちからこっちまで。

      私は窓に頬杖をついて、ずっと見てたの。

      お母さん、何考えてたんだろ・・・。

 

- 守は幸子の死後、後を追ってなくなったウサギだった。幸子の心残りの

 後始末に翻弄していた。鶴の恩返しならぬウサギの恩返し・・・

 幸子は綾に安二郎のことを頼み、最後のお願いをして消えていく -

 

幸子・・・雄一郎のこと、くれぐれもお願いしましたよ

 

 

 

−そうして、3姉妹や綾の想いも通じ・・・お迎えの朝・・・ -

- 満月の夜には、色んな事が起こります。黒澤安二郎の心を動かしたのも

 満月のエネルギーだったのかもしれません。

 人は確かにひとりで生まれ来て、ひとりで死んでいくのかもしれません。

 生まれ、出逢い、喜びも悲しみも幾年月・・・

 そうして、いつか、死んでいきます。

 家族は、「出逢いの原点」なのかもしれません。

 決して、あたりまえではない、家族だけの出逢い・・・

 ほら、もうすぐ夜が明けます。

 そして、又、はじまる物語もあるのです。 -

 

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